公開: 2022-09-06
自然科学の基礎とも言える元素の周期表。化学の勉強にはもちろん、材料科学や物理、生化学等においても欠かせません。
ところで、高校化学の範囲では、元素の周期性「周期律」を「発見」した人はロシアの「メンデレーエフ」と教えられています。しかし、実際はそうではありません。
メンデレーエフの発表(1869年)よりも前の1864年、イギリスの化学者ニューランズが、元素を原子量順に並べることで、8個おきに同様の性質を有する元素が現れる「オクターブの法則」を発見、発表しています。(下記論文の通り、「オクターブの法則」が文献として出たのは 1885 年のようですが、1884 年にも同様の発表がなされておりました)
メンデレーエフの実際の功績は、周期律の発見そのものではなく、
が大きかったのではないかと思われます。未知元素に関する指針が示されたことで、世界における元素発見に拍車がかかったでしょうし、その上、実際に発見された当該元素との物理的性質に良い一致が見られたことから、高く評価されたと考えられます。
一方、ニューランズの名前とオクターブの法則に関しては、大辞典等には存在するものの、高校化学において教えられることは殆どありません(少なくとも、学習要領の必須事項ではないようです)。
現在の周期表の発展には、メンデレーエフの功績によるところが大きい点に関しては疑うべくもありません。しかし、それを最初に発見し、周期律の見通しを与えた人物がその前に存在したことに関して、我々は敬意を払うべきではないかと思います。