ISO 80000-2:2019 は、自然科学分野における数学表記に関する国際標準規格です。
その他、我々に馴染みがある事項に絞り、いくつかピックアップします。
a + b
, a − b
, a ± b
, a ∓ b
は万国共通です。ab
, a × b
, a ・ b
いずれでも可です。a/b
, ab-1
, 比 a:b
いずれでも可ですが、÷
記号は非推奨です。:=
もしくは、 =
の上に def
を載せたものが使えます。n ≡ k mod m
とするそうです。ただし通常は、 n ≡ k (mod m)
が一般的です。日本国内ではもちろん、英語の Wikipedia でも同様です。a ~ b
でも a ∝ b
でも構いません。日本では後者が良く用いられています。≧
, ≦
を用いますが、国際標準では ≥
, ≤
を用います(棒が一本少ない)。 ≒
が使われますが、国際標準では ≈
(波打つ等号)が用いられます。欧米では後者がよく用いられています。g◦f(x)
(= g(f(x))
) と表記します。f -1(x)
で問題ありません。ただし、三角関数の逆関数は-1 を使わず、関数名に arc を付けます。例えば sin x
の場合は arcsin x
とします。f(x)
の微分として、df/dx
, df(x)/dx
(分数型でも横書きでも可), f'(x)
, Df(x)
いずれの使用できます。d, D
はブロック体です。log x
という表記を、 常用対数 log10 x
や自然対数 loge x
の代わりに使用してはならないそうです。それぞれ、 lg x
, ln x
を使うよう指導しています。|z|
(絶対値), Re z
(実部), Im z
(虚部), arg z
(偏角), z
(複素共役; 物理学では z*
) は、いずれも万国共通です。
p ⇒ q
, p ⇔ q
), 要素を示す x ∈ A
や y ∉ A
, 空集合 ∅
(ギリシア語の φ (phi) とは異なる), 包含関係 A ⊂ B
, 和集合 A ∪ B
, 積集合 A ∩ B
は、いずれも万国共通です。A
等のように、大文字斜体とします。ただし、定義済み集合は以下のようにします。N
(自然数全体), Z
(整数全体), Q
(有理数全体), R
(実数全体), C
(複素数全体), P
(素数全体) が使えます。通常のブロック体でも構いませんし、白抜き(ℚ
など)にしても構いません。ただし、斜体にはしません。n(A)
が使われますが、国際標準では |A|
もしくは card A
(cardinality) が使われるようです。A = {2, 4, 6, 8}
や B = {2x | x∈Z, 1 ≤ x ≤ 5}
といった表記が可能です。A
が使われますが、その他の国では Ac
が良く用いられているようです。